ミュージックビデオ制作
制作費ゼロから始めるミュージックビデオ
楽曲はできています。ミックスもマスタリングも終わり、あとは公開するだけ。次に必要なのは映像です。演奏カット、シーン、空気感、照明。従来のやり方なら、俳優を手配し、ロケ地を借り、撮影監督を押さえ、当日の天気を祈ることになります。
もう一つの道は、これまでで一番細かいプロンプトを書き、AI動画生成に頭の中の画をそのままつくらせることです。

ミュージシャンによるMVの作り方
ChatCutでのミュージックビデオ制作は、100%がSeedanceによる生成です。カメラの動き、照明、衣装、空気感、リズムまで書き込んだプロンプトから、すべてのカットをAIが生成します。撮影素材を読み込むところから始めません。ビジュアルはすべてテキストから生まれます。
制約が多そうに聞こえますが、実際に生まれているものを見ると印象が変わります。ChatCutで強いMVをつくっている人たちは、1カットあたり1,000語を超えるプロンプトを書いています。気軽にクリップを生成しているのではありません。撮影監督が現場で出すのと同じ精度で、シーンを演出しています。
楽曲を映像のブロックに分ける
曲の構成(イントロ、Aメロ、サビ、ブリッジ、アウトロ)を整理し、各ブロックで何を見せるかを決めます。
カットごとに詳細なプロンプトを書く
カメラアングル、動き、照明、衣装、美術、空気感、タイミングまで、カットごとに具体的な指示を書き込みます。
生成して作り直す
各カットをSeedanceで生成します。確認し、プロンプトを直し、生成し直す。すべてのフレームが狙いどおりになるまで繰り返します。
ビートに合わせて組み立てる
生成したクリップを楽曲に合わせてタイムラインに並べます。ビートで切り、曲の展開と映像の切り替えを合わせます。
色と空気感を整える
全カットでビジュアルを揃えます。決めた配色やムードから外れているシーンを調整します。
ミュージックビデオを書き出す
完成版を最高画質でレンダリングします。YouTube、配信サービスのビジュアライザー、SNSでの告知にそのまま使えます。
プロンプトは制作指示書
ミュージックビデオのプロンプトの細かさは、それだけで別カテゴリーです。実際のMVプロンプトはこうなります。
Seedanceが、制御された照明、衣装のディテールの一貫性、なめらかなカメラの動き、指定どおりのシネマティックな浅いフォーカスを備えた、陰影のあるクラブシーンを生成します。
末尾のネガティブ指定に注目してください。「モーフィングなし、浮遊物なし、スタイルの切り替わりなし」。この領域のミュージシャンは、アーティファクトを避けるための自分ルールをつくり、Seedanceに「やってほしくないこと」を明示しています。この指定は任意ではなく、演出の指示と同じくらい重要です。
演者、光源、空間の関係がはっきり伝わる劇的なシルエットのカットになります。ズーム前に静止する時間があることで、動き出す前の余白が生まれます。
プロンプトが長くなる理由
従来の制作では、監督は会話、立ち位置の確認、モニターチェック、その場の調整で意図を伝えます。「ライトを60センチ左へ」「今のテイク、もっと強い表情で」「ヘイズを足せる?」
AI生成では、そのすべてがプロンプトに入ります。現場での調整はありません。ジャケットの生地の質感から、カメラが動く速さ、逆光の色温度まで、あらゆる要素をテキストで指定する必要があります。
編集内容を言葉で伝えれば、ChatCutが実行します。ただし、ミュージックビデオのカットを制作品質で言葉にするには、相応のプロンプト設計が要ります。優れたMVの作り手は、1つのプロンプトを短い脚本のように扱います。ロケーション、立ち位置、衣装、照明プラン、カメラプラン、そして避けるべきことの明記まで。
自分で課す品質基準
良い作品をつくっているミュージシャンは、細かいプロンプトを書いているだけではありません。カットを採用する前に必ず当てはめる、自分なりの品質基準を持っています。
- 理由のない動きを入れない。 動くものにはすべて理由が要ります。カメラの動き、演者のアクション、環境の効果(スモーク、光)。意味なく浮遊する要素は世界観を壊します。AI効果音は、意図した動きをさらに補強できます。
- 衣装をカット間で統一する。 1カット目で黒いジャケットを着ているなら、それ以降のプロンプトにも同じジャケットの記述を入れます。
- 照明を連続させる。 照明の方向を決めたら、シーンを通して守ります。Aメロでキーライトが右からなら、その後も右からです。
- リズムを意識して切る。 カットは見栄えが良いだけでは足りず、ビートに対して気持ちよく感じられる必要があります。切り替え点は強拍に置き、カメラの動きは曲のエネルギーに合わせます。
メニュー操作は不要です。必要なことを打ち込むだけ。すべてのカットは制作会議ではなく、プロンプトから始まります。
作り直しへの投資
一般的なユーザーはアイデア1つにつきクリップ1本を生成します。MVの作り手は、重要なカットで10〜20テイクを生成し、次の観点で比べます。
- 決めたビジュアルスタイルとの一貫性
- カメラの動きの質
- AIアーティファクトの有無
- そのタイミングの音楽と感情が合っているか
この作り直しには時間がかかります。ただし、もう一方の選択肢(スタッフを集め、ロケ地を借り、1日撮影し、1週間編集する)はさらに多くの時間とお金がかかります。
この進め方に取り組んでいる作り手は、複数のプロジェクトを通じた総支出が数百ドル規模だと話しています。従来の撮影現場の1日分よりはるかに少ない金額です。2人体制の控えめな1日撮影と比べても、採算がどちらに傾くかは明らかです。
ビジュアル言語をつくる
AIミュージックビデオ制作でもっとも興味深い変化は、個々のテクニックではありません。ミュージシャンがプロンプトのライブラリを通じて、それぞれ独自のビジュアルアイデンティティを築き始めていることです。
あるダークエレクトロポップのアーティストは、陰影のあるネオンとスモークの効いた映像を安定して生み出すプロンプト集を持っています。あるヒップホップの作り手は、ワイドショット、硬い日差し、都市空間に焦点を当てたまったく別のプロンプト語彙を蓄えています。同じツールを使っていても、2人の作品はまるで似ていません。
創作の制約が予算から想像力に移ると、こうなります。アーティストの構想が、制作会社の作風や撮影監督の好みを経由しません。頭の中からプロンプトを通って、そのまま画面に届きます。
演出する俳優も、まとめるスタッフも、探すロケ地もありません。あるのは音楽と構想、そしてすべてのカットが編集に値するまで作り直す粘りだけです。近い作風の映像作家は、物語のある短編向けにAI映画制作の進め方も試せます。